地質屋さんの家づくり

マイホーム検討中の紆余曲折の記録、セキスイハイムの住み心地

地盤の話 地すべり

 地盤の話、2回目は地すべりにしようかと思います。

  と言いますのも、からたま自身が、土地検討中に候補に上がった一つに地すべり発生の疑いが見つかり、候補から外そうか現在進行形で考察中です。

 

 まず、地すべりとは

 山の地下に分布する何らかの、斜面に近い方向を持つ分離面に沿って、分離面から上のブロックが重力方向に滑動する現象(うろ覚え)、でしょうか。もっと細かな定義があるはずですので気になる方は調べてみてください。

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                              国土交通省HPより引用

 

 分離面は割と何でもいいような気がします。断層だったり、地層の境界だったり、地層の堆積構造だったり、岩石の剥離面だったり。こういった分離面に、降雨などによって水が供給されると、分離面に通常働いていた摩擦力が低減され、重力>摩擦力となった段階で分離面から上のブロックがすべるのです、そうだったような気がします。

 そのため、地すべりの対策としては以下のようなことがされています。

  1. 水が入らないように排水路等を整備する
  2. 地中に入った水が分離面にたまらないように水を抜く孔をあける
  3. 重力がかからなければすべりにくいので、分離面から上のブロックを削る
  4. 滑ろうとした時に邪魔になるように、ブロックの下端付近に盛土する

 ちなみに、対策をする場合は通常の降雨等だけではなく、かなり大きな地震も計算にいれて設計を行います。 

 

 話は戻りまして、

 上述しました候補地は、最近開発が進んでいる山腹斜面切り盛りしたを分譲地であり、高台からの眺望がすばらしいところです。交通の便が他の候補地よりも悪いものの、坪単価もも比較的安く、分譲地ルールとしてゆったりとした街づくりが義務付けられているため雰囲気もすばらしいのです。

 しかし、何の気なしに仕事でも頻繁にお世話になっている「J-SHIS MAP」防災科学技術研究所HPより)を眺めていると、候補地に隣接して”不安定と推定される”領域が描かれておりました。一応自分で慣れない空中写真判読(写真は「空中写真閲覧サービス」国土地理院)を使用)をしてみても、はっきりしないがきれいではない地形が見えてしまいました。

 確度は比較的低く、直接重なっているわけではないのですが、今後大地震の確率が比較的高い当地、地震によって周囲を含めた不安定化を”無駄に”考えてしまい現在に至っております。まだ決断はしていませんが、おそらくこの土地を選ぶことはないでしょう。

 

 自戒も込めて地すべり危険地確認方法を以下に書いておきます。

  1. 山腹斜面の造成地ではまず疑ってみる。
  2. 上にも書いた「J-SHIS MAP」などで調べてみる。(地すべりは基本的に継続的にゆっくりと活動するもので、それが山の地形などに表れたと考えられるものを確実度ごとに示してあります。)
  3. それでも気になる場合は、地形学の教科書などを元に地形図・空中写真を判読してみる。

 といったところでしょうか。

 ただし、現在住宅地になっている場所などでは、地すべり対策工事が実施されて安全性を高めているところが多いので一概に危険であるとはいえません。気になる場合は担当営業さんに聞いてみるとよいでしょう。本人に知識がなくても、ある程度大きな会社で家を扱っているのであれば、地盤の知識が豊富な方がいるはずです。

 

 ※間違いなどございましたらご指摘いただければ幸いです。